《ジーンズ・夏》佐藤忠良
多様化されている現代とはいえ、彫刻は様式を超えて、空間と材質に命を預けることから逃れることはできません。
作者が、何等の条件的束縛も受けずに自由に創ってあったものが、ある与えられた空間の中で生き生きと存在を主張できることもあれば、環境ともども互いに迷惑顔で共存しなければならないこともままあります。
透明な色彩さえ感じさせるヘキナンという響きが私の中を去来し、デッサンを重ねながら、一人の女性像にそんな思いを託そうと試み続けました。しかし、選ばせていただいた文化会館の前庭に、この像が果して応えられるものになれたのか、今度はそのことが不安にさえなっています。作者の言葉は、すぐ作品にはね返るものだということを怖れながら心の内を述べさせていただきました。 佐藤忠良
1912 | 宮城県に生まれる |
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1939 | 東京美術学校彫刻科卒 |
1960 | 第3回高村光太郎賞受賞 |
1966 | 東京造形大学教授となる |
1974 | 第15回毎日芸術賞受賞 芸術選奨文部大臣賞受賞 |
1975 | 第6回中原悌二郎賞受賞 第3回長野市野外彫刻賞受賞 |
1977 | 第5回長野市野外彫刻賞受賞 |
1981 | パリのロダン美術館で個展開催 フランスの美術アカデミーの客員会員に推挙される |
1984 | イタリア、サン・ルカ美術アカデミー会員に推挙される |
1986 | 東京造形大学名誉教授となる |
新制作協会会員 | |
2011 | 死去 |
更新日:2019年12月10日