《風景の調和》小田襄
土と水、そして炎の中を通って形造られた歴史的な碧南の素材(瓦)と現代の金属―ステンレス鋼によりこの作品は構築されました。
研磨され鏡面化したステンレス鋼は、周囲の光景を映し出し、見る者も含み、ある現実世界の認識を超え、にぶく光りもの云わぬ銀灰色の瓦素材と対座しながら、それぞれゆっくり曲面が連続して過去・現在・未来を通って行きます。
純粋な幾何形態のなかに造形構造を求め、素材と対話しながら、この作品が、外界と内界、虚と実、歴史と現在、人間と物質、精神と肉体、生と死・・・・・あるいは、全てのジャンルのなかに在るであろう対位―極点にむかっていく二つの世界の調和を暗示出来ればと思いました。
造られたものは、環境的視覚の導入からしだいに意識の領界に内在し始め、やがて、碧南を地上の一原点とすべく無限に調和する風景の刻印となるでしょう。
小田襄
1936 | 東京都世田谷に生まれる |
1962 | 東京芸術大学美術学部彫刻専攻科を卒業 |
1966 | 芸術と科学のシンポジウム(ポーランド)招待制作、優秀賞受賞 |
1967~68 | 渡欧、国際金属彫刻シンポジウム(チェコスロヴァキア)招待制作、イタリア政府留学生によりローマ生活 |
1975 | 第3回長野市野外彫刻賞受賞 |
1979 | 第1回ヘンリー・ムーア大賞展優秀賞受賞 |
1980 | 第7回神戸須磨離宮公園現代彫刻展国立国際美術館賞受賞 |
1983 | サンパウロ国際ビエンナーレ展 |
1984 | 第9回神戸須磨離宮公園現代彫刻展大賞受賞 |
1985 | バドバ国際彫刻ビエンナーレ展 |
1988 | ラベンナ国際彫刻ビエンナーレ展 |
2002 | 紫綬褒章受章 |
2004 | 死去 |
更新日:2020年01月10日